パンタ・パンタ ストーリー

EPISODE1

パン屋のパンタ
「ボクはパンタ! しゃべる動物たちが暮らすグンマ県サファリ市で、パンを作っているんだ!」

ここはしゃべる動物と人間が仲良く生活している
不思議な世界『グンマ県』。
このグンマ県のサファリ市でも、大勢の動物たちが毎日楽しく暮らしています。

サファリ商店街にはたくさんのお店があって、今はお昼時ということもあり、どの食べ物屋さんからもいい匂いが漂ってきます。
メインストリートを歩くだけでお腹が『ぐぅ』と鳴っちゃいそうです!

パンダの『パンタパンタ』が店長を務めるパン屋さん『West&East』からも、パンの甘くて優しい香りが漂ってきます。

パンタは美味しいものが大好きなパンダです。
趣味は幼なじみのマレーグマ『ジャクソン』と一緒に食べ歩きをすること。
美味しいものは何でも好きなパンタですが、中でも一番好きなのは、もちろんパン!
だから、自分のお店で出すパンは、どれもパンタの自信作です。

「さあ! 今は食パンとカレーパンが焼き立てだよ! 他にも美味しいパンがいっぱいあるよ!」

パンタの声に、お客さんがどんどん集まってきます。
パンタのお店は、サファリ市でも大人気なのです。

忙しく働くパンタの額には汗がキラリ。
でもパンタはとっても嬉しそう。

(みんながボクのパンを美味しいって喜んでくれる! 幸せだな~!)

お客さんの笑顔を見るだけで、パンタの気持ちは焼き立てパンのように、ホコホコするのでした。

EPISODE2

趣味は食べ歩きなんだ!
「今日も友達のジャクソンと食べ歩き。他のパン屋さんに行ってみたんだけど……なんだか悩んでるみたい」

ある日のこと、幼なじみのジャクソンがパンタのお家に遊びに来ました。

「ねえ、パンタ! 近所に新しいパン屋さんができたんだって!」
「え? 本当?」
「うん、これから行ってみようよ!」

パンタとジャクソンの趣味は『食べ歩き』。
美味しいものに目が無い2人が、新しくできた食べ物屋さんを放っておく訳がありません。
ましてやパン屋さんであれば尚更です。

(……サファリ市でボクと同じパン屋さんが増えるのは嬉しいな! いったい、どんなパンが置いてあるんだろう? ワクワクするよ!)

パンタとジャクソンは新しくできたパン屋さんに向かいました。

「いらっしゃいませ! ……あれ? 貴方は『West&East』のパンタさんですか?」 
「あれ? ボクのこと、知ってるの?」 
「もちろん! パンタさんの作るパンは美味しいと前にいたフジオカ市でも有名でしたから! ……さ、良かったら、うちのパン、是非食べていってください!」

コツメカワウソのおじさん店主はニコニコしながらお店の中に案内してくれました。

「うわぁ! とっても素敵なお店だね!」
明るくて広い店内には色んな種類のパンが所狭しと置いてあります。
お店の一角はカフェになっていて、そこで買ったパンを食べられるようです。

「よーし! たくさん食べるぞー!」

パンタとジャクソンは、ウキウキしながらパンを選び始めました。

――そしてしばらく経った頃。

「ふわぁ~。食べ過ぎたー! もうお腹パンパンパンダだよ~」

思う存分パンを楽しんだパンタとジャクソンは、大きくなったお腹を撫でます。
そこへコツメカワウソの店主がやって来ました。

「どうでした? うちのパン」
「はい! とっても美味しかったです!」

ジャクソンは満面の笑みで答えます。

「……うん、美味しかったよ」

パンタの微妙な間を置いた答えに、コツメカワウソの店主は聞きました。

「……パンタさん、はっきり言っていいんですよ」
「そ、それじゃ……その、美味しいパンはいっぱいあったけど……メロンパンだけは、イマイチかも」

パンタの答えを聞いたコツメカワウソの店主は、溜息をついてしまいました。

「……流石はパンタさん。そうなんですよ。メロンパンだけ、どうしても上手くいかなくて……とても悩んでいたんです」
「……なら、ボクと一緒に考えようよ!」
「えっ?」
一緒に考えれば、きっといいアイデアが思い浮かぶと思うんだ」
「それはありがたい! 是非そうさせてください!」

こうしてパンタとコツメカワウソの店主は、一緒に美味しいメロンパンの作り方を考えることになりました。

EPISODE3

メロンパンを作ろう!
「パン屋のおじさんと一緒にメロンパンの研究だ! チャレンジしてようやく納得のいく味になったよ!」

次の日、パンタのお店にコツメカワウソの店主がやって来ました。
今日は2人で美味しいメロンパンの作り方について研究です!

「……バターをちょっと多くしてみたら」
「……ベンチタイムの時間は、これくらいで……」
「……クッキー生地は、もっとザクザクの食感を活かせるように……」

……2人は美味しいメロンパンが作れるように、何度も何度もチャレンジしました。
そしてすっかり日も落ちて、お星さまが上り始めた頃……。

「……で、できたー! これが、理想のメロンパンだー!」
「や、やりましたね! パンタさん!」
「うん! さあ、早速試食してもらおう!」

パンタはジャクソンを呼んで、焼き立てのメロンパンを食べてもらいました。

「お、美味しいー! 外はザクザクで中はフワフワ! 昨日までと全然違う! こっちの方が断然美味しいよ!」

目を輝かせながら夢中でメロンパンを頬張るジャクソンの言葉を聞いて、パンタとコツメカワウソの店主は思わずニッコリ。

「やったね!」
「ええ! これもパンタさんのお陰ですよ! 本当にありがとうございます!」

2人が握手を交わしていると……。

「……ライバル店を助けるなんて……相変わらず甘いなっ! パンタっ!」
「き、君はっ!!」

誰かがパンタのお店に入って来ました。

EPISODE4

コニーとの再会
「幼馴染のコニーと久しぶりの再会! 彼もパン屋さんになったんだって! どんなパンを作るのかな~?」

「君は! コニーじゃないか!」
「……久しぶりだな、パンタ」

パンタのお店に入ってきたのは、幼なじみのコニーでした。
コニーはパンタよりも少し小さいレッサーパンダで、彼のお父さんはとても優秀なパン職人でした。

……ですが、パンタたちが幼い頃、グンマ県は空前絶後のパスタブーム。
パン屋さんは人気がなくなり、残念ながらコニーのお父さんのお店も潰れ、一家はサファリ市を出ていってしまったのです。
パンタは、コニーが引っ越ししてから初めて彼に会えたので、とても喜びました。

「久しぶりだね、コニー! 会えてとっても嬉しいよ! 元気そうで何よりだ!」
「ああ、パンタもな……それよりパンタ、俺……父さんと同じパン職人になったんだ」
「え? そうなの? コニーなら、きっとおじさんと同じように素敵なパンを作るんだろうね!」
「もちろんだ。俺は父さんと同じくらい……。いや、父さんよりもずっと優秀なパン職人になった!」

パンタは幼なじみと自分が同じ職業についていたことを素直に喜びました。
だけど……コニーの方は、ちょっと様子が可笑しいようです。

「……パンタ、お前もパン職人になったらしいな?ちょっと、お前のパンを食べさせてくれよ。俺のパンもやるからさ」
「本当に? コニーのパンが食べられるなんてラッキーだなー! どんな味なんだろう!」

……こうして2人はお互いのパンの食べ比べをすることになりました。

EPISODE5

パンタ・ショック!
「ボクのパンを食べたコニーは『大したことない』って……確かにコニーのパンの方が、美味しかったんだ」

「はい、どうぞ! ボクのパンの最新作!『パンダクリームパン』だよ!」

パンタは自分と良く似たパンダの顔が描かれたクリームパンをコニーに渡しました。
このパンダパンは見掛けの愛らしさもあって、子供や女性に大人気のメニューでした。

コニーはパンタのパンを口に入れ、しばらく味わっていましたが、やがてニヤリと笑いました。

「……安心したよ。これなら余裕で勝てそうだ。サファリ商店街で評判のパン屋だっていうから、ちょっとは期待したけれど、全然大したことないぜ。お前のパン」
「そ、そんな……酷いよ! コニー! どうしてそんなことを言うの?」

パンタはコニーの言葉に傷つきました。そんなパンタに向かって、コニーは無言で自分のパンを差し出します。
それは一見何の変哲もない普通の食パンでした。特にジャムが塗られているわけでも、何かが挟まっている訳でもない、シンプルな食パンです。

「……いただきます」

涙ぐみながらも、パンタはコニーから差し出されたパンを口に含みました。
……その瞬間。

「お、美味しいーーッ!!」

パンタの涙は一遍に引っ込んでしまいました。

「すっごく美味しいよ!」
「だろう? 俺はドン底の生活から這い上がるために厳しい修行を重ねてきたんだ。お前のようにぼんやりとしながらパンを焼いてきた男とは違うんだよ!」
「コニー……」

パンタはコニーの言葉に再び傷つきましたが、何も言い返せませんでした。
コニーのパンは自分が作ったパンよりも、ずっとずっと美味しいということが分かっていたからです。

「パンタ、感謝するぜ。お前のおかげで俺は自信がついた。俺もこのサファリ商店街に店を出す。そしてサファリ市一の……いや、グンマ県一のパン屋になる! パン皇帝に俺はなるっ! ……手始めに、今度行われる『タカサキ春のパン祭り』で軽く優勝を決めてやるよ! ハハハハッ!」

……傷心のパンタを置いて、コニーはそのまま帰ってしまいました。

EPISODE6

悩めるパンタ
「ボクは初めて『パン作りで負けたくない』と思った。どうしたら本当に美味しいパンが作れるのかな?」

……コニーとパンの食べ比べをしてからパンタはすっかり落ち込んでしまいました。

「はぁ……」

出てくるのは溜息ばかり。……それもそのはず、パンタには今まで『パンで勝負する』という発想自体がなかったのです。

(ボクは今まで、パンを作るのがただ楽しくてそれでボクのパンを食べた人が笑顔になるのが嬉しくて……それで満たされていたけど、甘かったのかな?)

パンタは自分の考えが間違っているとは思いませんでした。
だけど、コニーのパンを食べて『何かが足りない』と考えるようになったのです。

(今までボクは、お客さんが喜んでくれるように『可愛い』とか『楽しい』ってことを大事にしてきた。でもこれからは、もっとパンの味自体を進化させないと……本当に美味しいパンを作らないと!)

考えれば考えるほど、パンタは悩んでしまいます。

「……本当に美味しいパンってなんだろう?」

頭を抱えて悩むパンタを、ジャクソンは心配そうに見つめます。
彼はパンタとコニーのやり取りを見ていました。そして2人に何も言うことができなかったことを気にしていたのです。

「パンタ……大丈夫?」
「ジャクソン……大丈夫だよ! 気にしないで!」

幼なじみのジャクソンには、パンタが無理をして笑っているのが分かりました。
ジャクソンは余計にパンタのことが心配になりました。

(パンタ……僕が彼にしてあげられることは何かないかな?)

EPISODE7

ジャクソンのパン
「落ち込んだボクを励ますために、ジャクソンが手作りパンを焼いてくれた。それはとても温かい味だった」

『本当に美味しいパン』とはなんだろう?

……悩み続けたパンタは、何日もお店を閉めて引き籠ってしまいました。

サファリ商店街の人たちは、パンタのパンが食べられなくてガッカリです。

「……パンタさん、どうしたのかしら? 身体でも壊したのかしら?」
「心配ねー」

そんな街の人の声を聞きながら、ジャクソンはあることを決めました。

(……よしっ!)

……次の日、ジャクソンは大荷物を抱えてパンタのおうちにやって来ました。

「こんにちはパンタ。良かったら、これ、食べてほしいな」
「これは……」

ジャクソンが持ってきたのはメロンパンでした。

「パンタには到底敵わないけど。……一生懸命焼いたんだ」
「これ、ジャクソンが作ったの?」

見ると、大きさもバラバラだし、焼き過ぎのものもあれば、よく焼けていないものもあるようです。
お世辞にも見た目は良いと言えません。

けれどもジャクソンの作ったパンを一口食べたパンタは驚きました。

「お、美味しいっ!」
「本当に? 良かったー」
「ねえ、ジャクソン。これ、どうやって作ったの?」
「どうやってって……レシピは、この間、パンタが教えてくれた奴だよ。でもパンタが元気になりますようにって想いを込めたんだ」
「想いを……込める」

パンタは夢中でジャクソンのパンを食べました。

(温かい味だなあ……この味、何かを思い出す)

ジャクソンはパンタの様子を見て微笑みながら言いました。

「……そんなに喜んでもらえると、嬉しいな。……でもでも、やっぱり僕は、パンタのパンの方が好きなんだ。また食べたい。だから元気だして欲しい」
「ジャクソン……」

EPISODE8

ボクのパンに必要なもの
「ジャクソンのおかげで大事なことを思い出したんだ。もう大丈夫! きっと素敵なパンが作れるよ!」

ジャクソンの優しさに触れて、パンタはようやく気が付きました。

(パン作りで一番大事なのは『想い』だ。誰かを笑顔にしたいって気持ちが大事なんだ!)

そして同時に思い出します。どうして自分がパン職人になろうとしたのか?

(……子供の頃、コニーのお父さんが作ったパンを食べて、街の人がみんな笑顔になったのを見たからだ。ボクもそんなパンが作りたいって思ったんだ。ボクにとってパンは笑顔を作る魔法なんだ!)

迷いが吹っ切れたパンタは、ジャクソンの手をしっかりと握り締めました。

「ありがとうジャクソン! 大事なことを思い出したよ!」
「……もう大丈夫かい? パンタ?」
「うん! パンタ完全復活だよ! ……さあ、急いでタカサキ春のパン祭りの準備をしなくっちゃ!」

タカサキ春のパン祭りまであとちょっと。まだメニューを決めていなかったパンタは、大慌てでメニューを考え始めます。

「うーん……どうしようかなぁ?」

その時、偶然窓の外に目をやると、空には大きな虹がかかっていました。

「……これだー!」

EPISODE9

タカサキ春のパン祭り
「復活したボクは、パンのお祭りに参加した。そしてコニーと一緒に決勝戦まで進んだんだ!」

いよいよタカサキ春のパン祭りがやって来ました!
このお祭りは、サファリ市の全パン屋さんが参加するだけでなく、グンマ県のパン屋さんなら誰でも参加してもよいとされている盛大なお祭りです。

各お店は、この日のために開発した自慢の一品を出展しています。
会場内はパンの焼ける良い香りで満ちて、審査員も観客たちも、早くパンが食べたくて仕方がありません。

「――それでは『タカサキ春のパン祭り』開幕です!」

司会の合図と共に開始したタカサキ春のパン祭り。どれもこれも美味しそうなパンが並んでいますが……。中でも特に注目を集めているのはコニーのパン屋さん『Imperial Bread』が出展したパンのようです。

「店の名を冠した俺のパン、その名も『Imperial Bread』だ! ……俺の作る究極のパンの味に酔いなっ!」

コニーのパンを食べた審査員たちは驚きで目を見開きました。
「なんて繊細な味わいだッ!」
「バター、小麦……食材の味が調和し心地良いハーモニーを奏でている!」

「ふっ……俺の『Imperial Bread』は最高級の食材を使用している。そして最高級の職人である俺が焼いてるんだから、当然だな」

あまりの高評価に、優勝はコニーのパンで決まりかと思われたその時……パンタのパンが運ばれて来ました。

「ボクのパンは『虹色お花パン』です! どうぞ、召し上がれ!」

パンタのパンは7つの花弁を持ったお花のパンでした。

「ほほう、可愛いが……随分素朴なパンだねえ」

ですがパンタのパンを一口食べた審査員たちの目は輝き始めました。

「なんと! これは花弁一つ一つ味が違うのか!」
「なんて楽しいパンなんだろう!」

パンタはフワフワのパンの中に、クリームやジャムなど異なる具材を閉じ込めていました。まさにレインボーマジック!
その名の通り七色の味が楽しめるパンタのパンは、食べるだけで思わず笑顔になってしまいます。

「……決勝戦に勝ち残ったのは、コニー選手とパンタ選手です! そして……優勝者は!」

パンタとコニー。パンの女神が微笑むのは、どちらなのでしょうか?

EPISODE10

勝利はどちらの手に?
「勝負はなんと引き分けだった! でもボクはコニーと一緒に表彰台へ上ることができてとっても嬉しいよ」

「――優勝者はなんと2名! パンタ選手、コニー選手とも同点につき優勝です!」

パンタとコニーの勝負はまさかの引き分け。2人とも優勝という結果になりました。

「うわあ! ボクが優勝? しかもコニーと一緒に表彰台に登れるの? 嬉しいな~!」

パンタは喜びますが、コニーは納得がいかないようです。

「同点優勝だと!? そんな甘い結果が許されるはずがない! これは勝負なんだぞ!?」

怒るコニーにパンタは、自分が作ったパンを渡します。

「まぁまぁ。これでも食べて、ちょっと落ち着いてよ」
「……お前の作ったパンか、こんなもの……」

コニーはパンタの作った『虹色お花パン』を一口食べて、思わず唸ってしまいました。

「う、うまい! ……それだけじゃない、この味は……」

一口食べたパンの味わいの中に、懐かしいお父さんの面影を思い出していました。

(ああ、そうだ……父さんが作るパンもこんな優しい味だったっけ)

すっかり毒気が抜けたコニーは、表彰式が終わった後、パンタに呟きました。

「……勝負は引き分けだが、事実上俺の負けだ。俺はこの街を出ていく」
「えっ!?」
「それが俺のケジメだ……あばよ」

その場から去ろうとするコニーの腕をパンタは掴みました。

「……ボクがボクにとって本当に美味しいパンを考えることができたのは、コニーのおかげだよ。君とボク、お互いに足りないところを補い合える、とってもいい関係だと思うんだ……だから、この街を出ていくだなんて言わないで! コニー!」


必死になって自分を引きとめるパンタを見てコニーは苦笑い。

「まったく……そういうところが甘いっていうんだよ」

そのままパンタとコニーは笑顔で固い握手を結びました。
少し離れた位置から2人の様子を見ていたジャクソンもニッコリと笑います。

(2人とも、仲直りできて良かった。……これで、もっと楽しい日々が始まりそうだね!)

EPISODE11

幸せとエレガントのパン屋
「今日もボクは幸せのパンを。コニーはエレガントなパンを焼くよ。お互いに腕を磨いていこうね!」

 ――タカサキ春のパン祭り以降、サファリ商店街では、パンタのパン屋さん『West&East』もコニーのパン屋さん『Imperial Bread』も、以前にも増して大賑わいです!

「はーい! 虹色お花パンとチョココロネが焼き上がりましたー!」
「クロワッサンとImperial Breadが本日のおすすめだ!」

今日もパンタは、人々を笑顔にできるような『幸せ』のパンを。コニーは人々に感動を与えることができる『エレガント』なパンを焼いています。

どちらも本当に美味しくて、サファリ市の人々は大満足です!

……ただ、時々ですが……。

「パンタ! お前、もっとバターの産地には拘りを持て! そんな安物を使うな!」
「そ、そんな……。これは、お値段は安いかもしれないけど、味が凄くいいんだよ!」

……こんな風にパンタとコニーはお互いに言い争ってしまうことがあります。
でもこれは、美味しいパンを焼くための必要なエッセンスなのです。
街の人たちもそれが分かっているので、2人の喧嘩を微笑ましく見守っています。
それに、いざとなったら……。

「もう、どうしたの? 2人とも?」
「あ! ジャクソン!」
「丁度良かった。俺とパンタのパン、どっちが正しいか、食べ比べをしてみてくれ!」
「僕は、2人のパンは両方好きだけどね。……まあいいや! じゃあ、持って来てくれる?」

……こうやって公平なジャクソンがパンタとコニーの間に入ってくれるので、何も問題はありません。

こうして今日もまた、サファリ商店街は平和で美味しいパンが焼き上がっていくのでした。

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